糖尿病内科
糖尿病内科
糖尿病は血液中の血糖値が慢性的に高い値を持続する病気です。大きく1型糖尿病と2型糖尿病に分かれており、日本人で圧倒的に多く、生活習慣病の一つとされているのが2型糖尿病です。発症には血糖値を下げる働きのあるインスリンの分泌不足に加え、過食、運動不足、肥満、ストレスといった生活習慣が関係していると考えられています。
糖尿病の症状は人によって様々です。初期は自覚症状が乏しく早期発見が難しい病気です。
気になる症状がある方や、健康診断などで高血糖や尿糖を指摘された方は早めの受診をお勧めします。
初期から自覚症状なく進行します。網膜の毛細血管が傷つき視力低下や出血を起こし、最終的に失明に至ることもあります。糖尿病網膜症は日本人の失明原因の第2位です。糖尿病と診断されたら、自覚症状がなくても定期的に「眼底検査」を受け、良好な血糖コントロールを継続的に行っていくことが大切です。
腎臓には糸球体という毛細血管のかたまりがあり、血液をろ過しています。高血糖の状態になると、この糸球体が傷つきやすくなり、放置することで徐々に腎臓が傷つけられ、尿と一緒にたんぱく質も出てきます。最終的には腎不全となり、人工透析が必要な状態に至ってしまいます。日本の人工透析の原因は、糖尿病腎症が最も多く、現在も増加し続けています。継続的な血糖コントロールと定期的な尿検査を行っていくことが大切です。
糖尿病は末梢神経にもダメージを与えます。症状としては、手足がしびれたり、悪化すると痛みの感覚が鈍くなったりします(けがや火傷の痛みに気づかないなど)。とくに足は症状が悪化すると壊疽に至りやすく、場合によっては足の切断を余儀なくされる場合もあります。自覚症状があるので、早めに医師に相談しましょう。
脳梗塞、心筋梗塞、脳卒中、認知症、皮膚病、感染症、閉塞性動脈硬化症、歯周病なども合併症として挙げられます。
1型糖尿病ではインスリンの必要量が不足しているため、インスリン注射によって補う治療が中心となります。2型糖尿病では合併症の発症・進行を予防するための血糖コントロールが基本となり、食事療法、運動療法、薬物療法の三つが柱となります。
糖尿病において食事療法は治療の根幹となります。炭水化物、たんぱく質、脂質の三大栄養素をバランスよく摂ることや、ビタミン、ミネラルなどを欠かさず摂取することが大切です。具体的には「糖尿病食事療法のための食品交換表」(日本糖尿病学会)という表を利用し栄養バランスの良い食事を摂ります。2型糖尿病の場合、厳格に食事療法を行えばそれだけで血糖コントロールができる可能性があります。医療機関で医師や栄養士から指導を受けたり、講習会に参加したりして、栄養バランスのとれた食事の仕方を覚えるようにしましょう。
運動で体内に余分に溜まったエネルギーを消費することで血糖値が下がります。また、インスリン感受性が高まり、血糖コントロールがしやすくなります。運動療法としてはウォーキングや自転車、スイミング、ジョギングなどの有酸素運動を1回20~40分、週に3回実施します。
週末に集中して運動するといった方法よりも、できれば毎日行える運動を選びましょう。
2〜3か月ほど食事療法と運動療法を続けても、血糖のコントロールが上手くできない場合には薬物療法を検討します。経口血糖降下薬を用いる内服療法と、インスリンなどを注射で補充する自己注射療法の二つがあります。近年、糖尿病治療薬は大きく進歩しており、DPP‐4阻害薬、SGLT2阻害薬、GLP‐1受容体作動薬などが登場しています。これらの薬は治療過程で生じることがある低血糖を起こしにくく、体重を減らす作用を持つものもあります。どの薬物をいつから開始するかは、患者様の糖尿病のタイプや合併症の進行程度などによって、総合的に判断して決められます。
代謝内科は、代謝疾患と、内分泌疾患を中心に診断と治療を行っています。
腸から吸収された栄養素から体内で必要な物質を生成したり、一度生成した物質を分解してエネルギーを生み出したりすることを代謝と言います。
代謝疾患には、生活習慣病として挙げられる糖尿病、脂質異常症、肥満症、高血圧症、高尿酸血症などを診察します。
専門性の高い内分泌疾患の診断・治療を行っております。
このような症状やお悩みがある方はご相談ください。
内分泌疾患には、頻度の高い病気がたくさんあります。いずれも早期発見が非常に重要な疾患ばかりです。症状が当てはまる方や、気になることがございましたら、何でもお気軽にご相談ください。
脂質異常症とは血液中の「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)が増えたり、「善玉」のHDLコレステロールが減ったりした状態のことをいいます。この状態を放置していると動脈硬化が起こり、ゆっくり進行し、脳梗塞や心筋梗塞といった動脈硬化性疾患をまねくリスクが高まります。
脂質異常症の発症には、過食、運動不足、肥満、喫煙、過度な飲酒、ストレスなどが関係しているといわれています。「内臓脂肪型肥満」ではLDLコレステロールや中性脂肪が多くなり、HDLコレステロールが少なくなりやすい傾向があります。また、遺伝性の「家族性高コレステロール血症」と呼ばれているものもあります。
甲状腺ホルモンの分泌が過剰になり、代謝が高まる(亢進する)ことで症状が現れます。甲状腺が腫れてホルモン産生が増加するバセドウ病が有名です。
症状としては、異常発汗、手が震えたり、体重減少、動悸などが現れます。下痢や不安感、怒りっぽくなる、疲労感などの症状が出ることもあります。また、眼球が突出などの症状もあります。多くの場合、まず、薬物療法が行われます。
橋本病は慢性甲状腺炎とも呼ばれる甲状腺機能低下症の代表的な病気です。炎症が生じ、甲状腺が少しずつ破壊されます。全身の代謝が低下するため、寒がり、体重増加、体温低下、だるさ、便秘、高脂血症などが出現します。うつ病や更年期障害、脂質異常症として治療されていることもあるので、疑わしい症状があれば、甲状腺ホルモンの検査をお勧めします。
甲状腺腫瘍は無症状のことが多いため、頸部のしこりに偶然気づいたり、検診などで指摘されたりする方が増えています。多くは良性腫瘍であり、悪性腫瘍は、乳頭がんが全体の90%以上を占めているといわれています。甲状腺超音波で診断が可能です。
甲状腺に腫瘍がみつかった場合、良性、悪性を判断するために生検等精査が必要となることがあります。
脳下垂体は脳の中心から垂れ下がっている器官であり、下垂体前葉・後葉と分泌される。内分泌腺のホルモン分泌や尿量を調節する重要な役割を果たしています。ホルモン分泌が増加する病気には先端巨人症、クッシング病などがあります。ホルモン分泌が低下する病気には下垂体機能低下症や中枢性尿崩症があります。血液検査、MRI等画像で診断します。
副甲状腺の病気の多くは、副甲状腺機能亢進症です。副甲状腺ホルモンの過剰な分泌によって、血液カルシウム濃度が上昇し、尿路結石、骨粗鬆症や高カルシウム血症による様々な症状(食欲不振、嘔吐、便秘、倦怠感、筋力低下、精神症状、口渇感、多飲多尿など)を引き起こします。血液中のカルシウム・副甲状腺ホルモン(PTH)量が高値になることで診断ができます。
副腎は腎臓の上にある小さな器官であり、ホルモンを作る働きをしています。副腎に腫瘍ができ、ホルモンが過剰に産生されると、太ってきたり、高血圧になったり、糖尿病になるなど様々な症状が起きてきます。副腎ホルモンは人にとって必要不可欠な物質であり、副腎の働きが悪くなる病気は生命に関わることもあります。血液検査のほか、ホルモン負荷試験や腹部超音波等、各種画像診断等で正確に診断することが重要です。
骨粗鬆症は、骨の量と質の低下により骨折しやすくなる病気です。生活習慣病のひとつと考えられており、高齢化と共に増加し、予防や早期診断が注目されています。骨粗鬆症には閉経後の女性に多い「閉経後骨粗鬆症」のほかに、甲状腺や副甲状腺など内分泌疾患と関係して起こってくるものもあります。気になることがある方は、一度骨密度を測定することをお勧めします。